大親友の犬に生まれた我が子を見せにきた猫。母猫をねぎらい子猫の面倒をみる犬。
そこには種別を越えた絆があった。
その友情は離れ離れとなっていても決して消えることはなかったのだ。
かつて大親友だった犬と猫がいた。
野良だった猫はふらっとその地を離れ、自由気ままに暮らしていたが、ついに我が子を出産した。
猫は我が子を、どうしてもこの犬に見せたくて再びその地を訪れた。
犬も猫のことをしっかりと覚えていた。
じゃれ合いながら猫との再会を喜ぶ犬。
そして猫が生んだ子供たちをやさしくその愛情で包み込んでいったのだ。
生まれたの。見せに来たの。猫は我が子を犬に紹介する。
ほうほう、君に似てかわいいじゃないの。
犬はやさしく子猫に鼻をつけた。
犬と猫は昔よくそうしたように、お互いにじゃれあった。
月日がたっても犬と猫の友情はついえることはない。
ペタンと腰をおろし、子猫たちをやさしく見守る犬
子猫を持つ母猫は警戒心が強く、子猫のそばを離れることはない。
だがこの猫は犬に対し絶対的な信頼をおいているようだ。
子猫が犬のそばにいてもまったく気にせず、それどころかリラックスして毛づくろいをしている。
また犬も、「猫さんは子育てで大変だったろうから、私にまかせてゆっくりしているといいよ」とばかりに、
子猫たちの面倒を見ている。
なんというやさしい世界。
一度結ばれた絆は、例え種別が違っても永遠に消えることはないのだ。
もしかしたらこの猫家族は、犬の近くで暮らすようになるのかもしれない。
この犬ならきっと、わが身にかえてでも、子猫たちを守ってくれることだろう。