小樽で「ゴールデンカムイ」企画展を開催
明治末の北海道を舞台にした野田サトルさんの冒険漫画
「ゴールデンカムイ」の企画展が、北海道小樽市の市総合博物館で開かれている。
日露戦争の帰還兵とアイヌの少女が活躍するストーリーで、
アイヌの言葉や文化表現は膨大な取材に裏付けられているのが特徴。
展示では原画や作中のコマ約40枚と共に、当時の小樽の写真、
衣装や仕掛け矢などアイヌの民具と文化を紹介している。9月25日まで。
物語が始まるのは1907(明治40)年ごろ。
帰還兵がアイヌの少女と出会い、網走監獄の死刑囚たちが隠した埋蔵金を巡って
陸軍や新選組の残党と争奪戦を繰り広げるという設定だ。
狩猟など大自然の中でのアイヌの伝統的な暮らしが丹念に描かれ、
アイヌが虐げられた様子をうかがわせる場面もあるが
少女は一貫して力強く魅力的に表現されている。
発行する集英社によると週刊誌での連載開始時から注目を集め
3月に「マンガ大賞2016」に選ばれた。既刊1〜7巻の発行は計220万部を超す。
小樽市は物語前半の舞台で、野田さんは連載開始前の2014年に訪れ
博物館も取材に協力した。千葉大の中川裕教授(アイヌ語)が監修し
コミックの巻末には毎回20〜30冊の専門書が参考資料として挙げられる。
北海道アイヌ協会の貝澤和明事務局長は「アイヌの文化や食べ物がよく調べられている」と感心する。
小樽市総合博物館の石川直章館長によると
江戸時代に描かれた「夷酋(いしゅう)列像」などのアイヌ風俗画は威風を強調し
生活の中の笑いを描いたものは同館所蔵の「林家旧蔵アイヌ風俗画画稿」など数少ない。
「ゴールデンカムイは、いわば新世代のアイヌ風俗画。
アイヌに関心を持ち、その暮らしを知るきっかけになってほしい」と期待する。