ねこのめ

ねこのめみたいにくるくる回る日常の出来事

耳がちょきんとカットされた猫 「痛そう」「かわいそう」いえいえ



この猫の耳は、まるで桜の花のような形をしています。
人の手によって、耳の先端がカットされたのです。



耳を切るなんて、かわいそう! なぜ?」

そう思う人もいるかもしれません。

ですがこの『耳カット』は、優しい気持ちの表れなのです。

『耳カット』は、誰かに見守られているあかし


オス猫は右耳。



メス猫は左耳の先端を三角にカットします。



三角のほか、水平にカットすることもあり、明確な決まりはありません。



『TNR』という言葉をご存知でしょうか。

TNRとは、T(Trap:捕獲器で保護する)
N(Neuter:不妊去勢手術する)
R(Return・Release:元の場所に戻す)の略。

不幸な野良猫を減らすことを目的に、ボランティアが行っている活動です。

いったん捕獲した野良猫は不妊去勢手術を施し、元の場所に戻してあげます。
『耳カット』は、「もう手術済です」というしるしです。

不妊去勢手術は、猫にとってかなりの負担になります。
誤って、二度めの手術をされてしまうことを防がなくてはなりません。

おうちがあるのに、『耳カット』している理由

ボランティアは、外で生きていくのは難しいと判断した猫は
捕獲後にリリースせずに保護します。

親猫とはぐれてしまった子猫も、保護の対象です。

この猫は生後2か月の頃に保護され、ボランティアの家で成長しました。



健康状態が良好で「ボランティアの元を離れても大丈夫」と判断され
里親募集を開始。お見合いの希望者が現れたタイミングで、去勢手術がされました。

よく見ると、小さく耳がカットされています。



どうして、野良猫ではなくおうちがある猫なのに『耳カット』をするのでしょうか。

それは、家から脱走して迷子になってしまった時のための対策です。

似ている野良猫はたくさんいる

この猫は、茶色の縞模様『キジトラ』柄。
日本に最も多くいる種類の1つといわれています。



もし外で迷子になってしまった場合、誰かに探すのを手伝ってもらおうにも
似た猫が多すぎて見つけるのが困難です。

また、万が一交通事故などでケガを負った場合は
保健所に保護される可能性もあります。

その際、『耳カット』は飼い猫を探し出すための、特徴の1つとして有効です。

外で『耳カット』猫を見つけたら優しく見守って
もし街中で『耳カット』された猫を見かけたら、優しく見守ってください。

ボランティアは、不幸な猫を1匹でも多く救うために日々奮闘しています。
「耳カットは、今してあげられるせめてものこと。その先に行きたい」

と、とあるボランティアは語っています。



『耳カット』された猫たちは、一代限りの命を精一杯生きています。

全ての猫に、温かな暮らしがある…
そんな未来がやって来ることを、願わずにはいられません。