ねこのめ

ねこのめみたいにくるくる回る日常の出来事

3月は『シェイプ・オブ・ウォーター』が楽しみ。

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声を発することのできないヒロインが
言葉を話さないクリーチャーに出会って愛するようになる。

彼女はその理由を手話でこう表現する。

「彼はわたしのことを、何か欠けたところのある不完全な存在としては見ない。
 彼はただ、あるがままのわたしを見る」

このヒロインが若くなく、目を見張るほどの美貌でもなく
その愛に性的行為も含まれているところが、従来のおとぎ話のヒロインとは違う。

この愛の強さを際立たせるのが、アメリカとソ連の冷戦下という時代背景だ。

2つの大国という巨大な存在が権力闘争をする時代の中で
愛が、当時の社会的立場の弱い人々の間に伝わっていく。

ヒロイン・イライザ(サリー・ホーキンス)も、言葉を話せず
政府の極秘研究所で深夜清掃員をする存在。

そして、そんな彼女に協力するのが、同僚の黒人女性(オクタヴィア・スペンサー)と
アパートの隣人で同性愛を隠している失業中の初老男性(リチャード・ジェンキンス
そして祖国ソ連に諜報活動を強要されるがその命令に反して
自分の意思を貫こうとする生物学者マイケル・スタールバーグ)なのだ。

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そして、この愛のロマンチックさを増幅させているのが、モノクロのミュージカル映画の数々。

ヒロインとアパートの隣人男性はいつもテレビで昔のモノクロのミュージカル映画を観ていて
2人でソファに座ってダンスの足だけ真似したりする。

この習慣があるので、ヒロインがクリーチャーに自分の思いを伝えようとするとき
スクリーン上に素晴らしい魔法が起きる。

本作はこうした誰もが胸を打たれる愛の物語なのだが、それでありながら
実はいつものギレルモ・デル・トロ監督映画でもある。

この監督はクリーチャーが大好き。

だから『ブレイド2』(2002)でも『デビルズ・バックボーン』(2004)でも
ヘルボーイ』(2004)シリーズでも、もちろん『パンズ・ラビリンス』(2007)でも
いつもクリーチャーはどこか愛らしい。

そして、クリーチャーは純粋で、怪物は人間なのだ。

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そして、もうひとつ素晴らしいのは、本作のタイトルだろう。

直訳すると“水の形”。監督自身も語っているが、この水とは愛のこと。

水も愛も、それを取り巻く状況が変われば、それに合わせて姿を変える。
だから、どこにでも、どんな形でも存在することができる。

このタイトルが、物語のすべてを語っている。


ヒュージャックマン主演のグレイテストショーマンも観たいな(*^.^*)