ねこのめ

ねこのめみたいにくるくる回る日常の出来事

優しい人の話。

会社の同僚から聞いた話。

同僚は帰宅途中の電車の中で読んだ新聞やら缶コーヒーの空き缶やらが邪魔だったので、
コンビニの袋に入れて口を縛り、そのまま座席に置いて電車を降りたそうです。(呆れた行動ですが・・・)
それを見た見知らぬおばあさんはそのコンビニ袋を忘れ物だと思ったらしく、
追いかけてきて「忘れ物ですよ」と渡してくれた。

同僚は「ゴミだからいりません」と言う訳にもいかず、
取り合えずすみません、と言ってそのゴミを受け取りました。

最初はゴミを捨てたの分かってて嫌味のつもりでわざと持ってきたのかと思って
ちゃんとお礼も言わなかったらしい。

でもおばあさんはそれを本当に忘れ物だと思ったみたい。
「しっかり持っとかんといかんよ」とにこにこ笑って手渡してくれたそうだ。

そして電車のいなくなったホームに戻って行ったそうです。

そのおばあさん、自分が降りる駅じゃないのにそのゴミを渡す為に電車を降りて
同僚を追っかけてくれたんだって。
その電車、夜間は本数が少なくて乗りそこなうと10分くらい待たないと次のが
来ない。

次の電車を待つおばあさんの姿を見てすごく申し訳ない気持ちになって、
同僚は絶対電車にゴミを置いたりしなくなったそうです。
マナーの悪い人を改心させた優しいおばあちゃんの話でした。




以前、ソープの従業員やってた者です。

ソープってとこはいろいろな客が来るわけさ、
女に不自由しないような男前の芸能人から、絶対もてそうもないオヤジまで。

ときどき身体障害者も来るんだけど、中にはきっつい客もいるんだわ。
テリー伊藤顔で、車椅子でよだれ垂らして体がねじれてるようなお兄さんとかね。
現実の世界じゃ1000年生きてても絶対女とやれないだろう、って人。

今でも覚えているのはみずきちゃんって女の子。

そういう客がきて、たまたまみずきちゃんしか空いてなかったから、
彼女についてもらうことにしたのよ。ふつう嫌がるんだよね。

ソープ嬢だって、仕事とはいえブサイクよりはいい男とやりたいわけだから。
でも、彼女はそうじゃなかった。偉かったね。

その客をひと目みて悟ったわけ。彼のこれまでの境遇、絶望的なコンプレックスを。

彼女は彼を抱きかかえるようにして、階段を上がるときも、
「足元、気を付けてね」って言いながら、優しくいたわるように個室に連れていった。
既定の時間が過ぎて、個室から出てきたそのお客さんは、
帰るとき、感極まった様子で「ありがとう、ありがとう」って言ってた。

ちゃんとしゃべれないから「あいあおう、あいあおう」って聞こえたけど。
めったなことじゃ感動しないオレが、不覚にも涙出そうになった。
彼女は、客を見送りながら、作り笑いじゃない本当の笑顔で「バイバイ」してた。

みずきちゃんみたいな女の子が、この世間にどれだけいるかな。
他人の心の痛みがわかって、優しくしてあげられる子は……。
彼女がもし死んだら、間違いなく天国に行くだろうね。




祖父が戦争に行っていたときの話。

戦争が終わり、帰国する港に向かっていたとき、仲間の一人が力尽きた。
祖父はその人を励まして、支えて歩いてその人は無事帰国することが出来たらしい。

その人からとても感謝され、祖父は帰国の船の中で伝染系の病気にかかったらしいが、
その人が熱心に看病してくれ、命は取り留めた。

なんか情けは人の為ならずてこういうことなのかなあと思った。





高校生ん時、チャリで田んぼに落下した。
高さ1mぐらいあったと思う。
ハンドルで胸を打って、石か何かであちこち切った。後で判ったことだが肋骨にヒビも入ってた。

泥と血でどろどろになって、どうしていいかわからず(当時携帯電話は無かった)呆然と立ち尽くす私を
同じ学校の連中がじろじろ見ながら通り過ぎていった。

そんな時、車が一台停まっておばさんが下りてきた。

「あんたどうしたね!」と聞かれ、家に連絡してやると言われて名前と電話番号を伝えた。
おばさんが去っていってからしばらくして、祖父が軽トラで迎えに来た。

おばさんがウチに電話をしてくれたそうだ。
惜しむらくは、あまりにテンパりすぎて、私も家族もあのおばさんの名前を聞きそびれたことだ。

お礼が出来ないことが何より悔やまれる。
感謝してもし尽くせないぐらい有り難い。おばさんはネ申だ。
恩返しの代わりに、私も誰かが困ってたら助けて颯爽と去っていこうと思っている訳ではあるが
田んぼに落ちている高校生って、なかなかいないもんだね。





田んぼに落下ではないんだけど、高校の頃自分もいい人に助けて貰った。
学校の校門の中で、一番人の往来が少ない門から出入りしてた。
すごく急で段数の多い階段の上にある門なんだけど
休日部活で登校したらその門が閉まってた。

階段をすでにのぼってしまっていたので、また降りて他の門まで迂回する
のがとても面倒で、のりこえようととりあえずよじのぼったてみたら
ものすごい半端なところで進退窮まってしまった。
のりこえられないし、もとの位置にももどれないひどい状況で、
5分くらいその状態のまま固まってたら、だんだん体の力抜けてきて、
これはもうだめか?と感じだしたとき、たまたまなんかの部活で
走りこみしてた人が、こっちに気づいて慌てて駆け寄ってきてくれた。

自分の肩の上に足のせて台にして良いと言ってくれて、実際そうするしかない
状況だったんだけど、靴はいているし(はいてなくても)申し訳なくてしかたなかった。

躊躇ってたら再び、ほんとに気にしなくていいよと言ってくれ、自分も限界だったし
時間とらせてるのも申し訳ないし、覚悟を決めて肩をかしてもらって、無事に中に入れた。

動転してて名前やクラスをきいてあとでお礼とかするっていう頭もなく、
ただただその場でお礼言って謝ってって感じだったんだけど、その人はやっぱり
気にすることないっていって、本当に颯爽とどこかへと走っていった。

休みで正門と裏門以外は閉まってるのわかってるのに、ぼんやりいつもどおり
階段上ったり、そもそも階段の下で門が閉まってるのに気づかなかったり、
その上何も考えず乗り越えようとした自分のあさはかさを顧みるにつけ、
その人の優しさとか親切さがより感じられて、未だに忘れられない。





遠くに住むひとり暮らしの祖母と毎日携帯メール交換している。
交換といっても、「会社でこんなことあったよ。こんなもん食べた」
みたいなささいなことを自分が4、5行メール。

それを祖母が読んだら全文引用でそのまま返信、というもの。
ある日祖母からの返信が来た。ふと見るとタイトルがついている。

あわてて本文を見ると目にも鮮やかな絵文字を駆使した流麗文章。
どうやら近所の高校生の訪問ボランティアさんが打ってくれたようだ。

毎日お仕事お疲れさま
あなたはそんなたいした仕事ではないと言うけれど
毎日働いているということが本当に本当に尊いのです
おばあちゃんはココアを飲んだことがないけど
とっても美味しそうですね 今度チャレンジしてみようかな
庭の冬青が赤い実をつけています メールに写真をつけてみます
毎日メールありがとうありがとうありがとう

自分のなんてことないメールに、こんなに色々考えてくれていた。
今度の休みに会いに行くよ。ココアを作ってあげたい。
(絵文字は祖母の希望で高校生がつけてくれた模様です)





高校生の頃、初めてのバイトでスーパーのレジをやっていたんだけど、
最初は勝手がよく分かってなくて、右往左往してた。

ある日の午後7時前、一番混む時間帯に、すべての会計を終えて
「○○円になります」と言ったあと、「あ…○○円ちょうどあるわ」
と言ったお客の中年女性の言葉でそのままレシート出したら、
「あーごめん、ちょうどあるかと思ったらお金足りなかったわ、
今から家戻ってちょっと取ってくるわ〜」って、荷物を置いたまま走っていってしまった。

ぽかーんとしてたら、次の客に
「ちょっと!早くしてよ!急いでるんだから!」と怒鳴られ、大パニック。

慌てて店長を呼び、荷物を放置した客のすべての精算を取り消し、
やり直したものの、待たされていた客はカンカンで、
「アンタ!何分待たせんのよ!弁償は?ああっ?!損した時間弁償してっ!早く!」
と手が付けられない状態に。

そこにお金を取って戻ってきた例の客が
「あら?私の荷物は?ちょっと!待っててって言ったのになんで勝手に片付けてんのよ!」
とふじこって、何がなんだか分からなくなり、泣いてしまった。

とりあえず怒鳴り続ける2人の客を店長にまかせ、目を充血させながら
次の客のお婆さんのレジを通していたら、おつりを渡した後、
逆にそのお婆さんが私の手に何かを乗せた。ん?と思って見ると、そこには
飴玉がひとつ…。
「いろいろ辛いことあるよね。負けちゃだめよ。がんばってね」と
お婆さん、飴を乗せた私の手をくるむように、上からきゅっと両手で握ってくれた。
その手がすごく暖かくて、すごくすごく嬉しかった。




道路にポツンと落ちていた手袋。

目の前を歩いてた小学生低学年くらいの男子3人組のうち1人がそれを拾い、道路脇にそっと置いた。
その光景を目にしながら通り過ぎた後、背後から
「踏まれたら可哀相やもんね」と友達に言ってるのが聞こえた。
気持ちの優しい子だなと思った。




買い物に行った店で傘立て見て今にも泣きそうになってる小学生の女の子がいた。

自分のビニール傘出すついでに「どうしたの?」と聞いたら
「傘持って来たのに…盗られたみたいです」とか細い声で答える。

外を見たら土砂降りだし手には買い物袋提げてるしあんまり気の毒になって
「ツレと車で来てるからここ(入り口)まできてもらえば私は傘使わなくていい。
小さくて汚いけど使って。返さなくて良いから。」という感じの事を言って差し出したら
顔いっぱいに驚きを浮かべて「いいです、貰えないです…!」と首を振る。

(最近物騒だし女でも警戒しちゃうんだろうなあ)と思ったらその子がすごく真面目な顔で
「だって貰っちゃったらお姉さんにお礼ができないから」と言う。

何て律儀な子なんだと思いつつ本当に安物だから良いよ、使って欲しいからと渡すと
「私は**小学校5年*組の***子です。絶対絶対返します。ありがとうございます!」って
何か本当に涙が出そうになった。

重ね重ね言うが安物であげてもよかったけどそうするとかえって女の子が気にしそうだから
後日待ち合わせして返してもらった。
わざわざお母さんも一緒に来て丁寧にお礼を言ってくれ二人で作ったお菓子をくれた。

DQNスパイラルはよく聞くけど逆もあるんだね。心が温かくなったよ。





小学校の頃、家はどうしようも無く貧乏だった。

父親を交通事故で無くし母一人子一人の母子家庭だった。
小学校の時、俺は遠足におやつを持っていく事が出来なかった。
前日のホームルームで「バナナはおやつに入りますか?」と
戯けるクラスメートを横目に絶対いかないと心に決めていた。

放課後帰ろうとする俺を理科室に来るよう担任の先生に言われた。
理科室へ行くと先生は目に涙を浮かべながら300円を握らせてくれた。

そして続けてこういわれた。
「いいか、お前は他の子よりも先に人生の不条理や苦痛を感じられ幸せだと思え。
親の代では負けたかもしれない、でも其れはお前の責任じゃない。この悔しさを
バネに伸し上がってお前の代では勝て。もしお前の子供が悲しい思いをする事が
あったら其れはお前の責任だ。金をやるのは一回だけだ。大切に使え。」

俺はその時買ったビックリマンのチョコの味を忘れない、そしてそのシールは
今でも大切に保管している。





前に自分が誕生日の時彼と焼肉屋に行ったの時の出来事。

その焼肉屋からメルマガが来て、
「誕生日月に限りオリジナルデザートサービスします」って書かれていたので
デザートを頼む際にその画面を見せたら「少々お待ちください」と言われた。

数分後、いきなり店の電気が消えたので「何?!」と思っていたら、
ロウソクの刺さったケーキを持ってきてくれた。
「おめでとうございます」
と言った後にハッピーバースデーまで歌ってくれた。
しかも有線までハッピバースデーが流れてるw

後々聞いたら、一人の店員さんが急いでケーキを買ってきてくれたそう。
誕生日にあんなに祝われたのは初めてだったので、本当に嬉しくて半泣き状態でした。
あの時祝ってくれた店員の皆さん、本当にありがとう。




去年の冬頃の話。

仕事で徹夜したうえ空腹と風邪が重なって、
駅を出た途端具合悪くなって少し歩いた団地の道に座り込んてだんだけど、
そのときそばの交番から若い警官がきて、「大丈夫ですか」って話しかけてきた。

風邪ひいて具合悪くて休んでるって言ったら、
「そこじゃ冷えるから」って交番の簡易ソファみたいな所でしばらく休ませてもらった。
申し訳ないからすぐ出ようと思ったんだけど、
「いいから落ち着くまで休んでください」って、お茶と冷えピタもらった。

解熱剤も渡されたけど、飯食ってないからって言ったら、
冷蔵庫から弁当箱出してきて半分に切ったバナナくれた。多分その警官の弁当だと思う。
食って薬飲んだ後、しばらくうつらうつらしてた。

1時間くらいした頃、パトロールしてたもう一人の警官が帰ってきた。
俺の方もまだかなりフラフラしてたけど、薬でちょっと落ち着いてきたので
お礼言って帰ろうとしたら、バナナ警官が「危ないから」って言って、家の近くまで送ってくれた。

肩借りながら「病院に行った方がいいですよ」とか「ちゃんと栄養をとらなきゃ駄目ですよ」とか言われた。

警官の不祥事が続いてた頃だったから、警察ってあんま好きじゃなかったんだけど、
親切な警官もいるんだなーと思った。

風邪治ってから、バナナ持ってお礼に行ったんだけど、
「治って良かったですね」って笑って、バナナは受け取らず。

今でも会社帰りに交番の前通る時は挨拶してたまに世間話したりするんだけど、
バナナのお礼ができていないのがかなり気がかりだったりする。本人は忘れてるっぽいが。